地質学雑誌
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論説
東京都世田谷区,武蔵野台地の地下に分布する世田谷層及び東京層の層序,分布形態と地盤震動特性
中澤 努 長 郁夫坂田 健太郎中里 裕臣本郷 美佐緒納谷 友規野々垣 進中山 俊雄
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2019 年 125 巻 5 号 p. 367-385

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抄録

東京都世田谷区の武蔵野台地の下に分布する更新統世田谷層及び東京層の層序と地盤震動特性について検討した.世田谷層はMIS 6に開析された谷地形をMIS 5e前期~中期に埋積した地層であり,内湾成の軟らかい泥層を主体とする.一方,この地域の東京層は,MIS 5e中期?~後期の湾奥で形成された砂層などからなり,世田谷層とは対照的に広範囲に比較的平坦に分布する.常時微動観測により,段丘礫層を伴わず世田谷層が厚く分布する地域では,1Hzにピークをもつ地盤震動特性が示された.首都圏の地盤リスクを考えるとき,世田谷層をはじめとする台地の下のMIS 6開析谷埋積層の分布に注視する必要がある.

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© 2019 日本地質学会
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