地質学雑誌
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論説
紀伊半島中央部に分布するジュラ紀秩父付加体と白亜紀四万十付加体の境界周辺の地質構造と砕屑性ジルコンU-Pb年代
志村 侑亮 常盤 哲也竹内 誠山本 鋼志
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電子付録

2019 年 125 巻 5 号 p. 349-365

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抄録

本研究は,紀伊半島中央部に分布する秩父-四万十付加体境界周辺において,詳細な野外調査を行った.本地域では,秩父付加体の山葵谷コンプレックスと四万十付加体の麦谷コンプレックスが,西北西-東南東走向で南に低角で傾斜した大峯-大台スラストで接している.また,大峯-大台スラストを介して構造的上位に分布する秩父付加体の山葵谷コンプレックスにおいて,砂岩のジルコンU-Pb年代測定を行い,最も若いジルコン粒子および最も若いクラスター年代として,約168~152Maの年代が得られた.四万十付加体の麦谷コンプレックスからは,最も若いジルコン粒子および最も若いクラスター年代として約110~100MaのジルコンU-Pb年代が得られており,大峯-大台スラストを境にして,約55Myrという堆積年代差の存在が明らかになった.大峯-大台スラストを境とした堆積年代差は,他地域の秩父-四万十付加体境界で認められる年代差よりも非常に大きな値を有している.

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© 2019 日本地質学会
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