地質学雑誌
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論説
秋田および山形北部地域の新第三系炭酸塩コンクリーションのSr同位体比と珪藻化石年代
西川 治 安東 大輝嶋田 智恵子石山 大三山元 正継
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2020 年 126 巻 2 号 p. 53-69

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抄録

秋田・山形北部地域の海成新第三系に発達する炭酸塩コンクリーションおよび共産する貝化石殻試料のSr同位体比を検討するとともに,コンクリーションに含まれる珪藻化石年代を決定した.珪藻化石の保存状態が良好な5試料について,後期中新世に相当する珪藻化石帯を認定した.コンクリーションのSr同位体比は,生成した当時の海水の同位体比とこの地域の火成岩類が示す低い同位体比との中間的な,87Sr/86Sr=0.709013-0.706749の広い範囲の値をとる.これは,マグマ起源のSrが間隙水を汚染し,そこからコンクリーションが生成したためと解釈できる.コンクリーションと貝化石殻両者の鉱物相とSr同位体比を検討した結果,コンクリーションの多くは,続成初期の間隙水の同位体的特徴を保持していると推定された.

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© 2020 日本地質学会
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