地質学雑誌
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論説
日高帯中に見いだされた後期漸新世を示す珪質泥岩層とそのテクトニックな意義
七山 太 栗田 裕司田近 淳山崎 徹岩野 英樹檀原 徹平田 岳史
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2020 年 126 巻 2 号 p. 71-84

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抄録

北見紋別地域に分布する立牛層は珪質泥岩主体の地層からなるが,これまでは日高累層群に含められていた.立牛層に挟在されるタービダイト砂岩から砕屑性ジルコン粒子を分離し,LA-ICP-MS法でU-Pb年代を測定した結果,26.9±0.2Maを示す年代値が得られた.一方,立牛層の珪質泥岩から後期漸新世を示準する渦鞭毛藻化石(Williamsidinium sp. C and Spinidinium? sp. A zones)が産出した.立牛層は,後期漸新世に発生した右横ずれ構造運動によって,基盤の日高累層群中に南北に生じた地溝帯を埋めるようにして堆積し,さらに千島海盆(古オホーツク海)からもたらされた底層深層水の湧昇によって、珪質堆積物になったと考えられる。

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© 2020 日本地質学会
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