2021 年 127 巻 10 号 p. 635-648
関東平野の中央部には,北西・南東方向の中央構造線に沿って,最終氷期最盛期(LGM)までに形成された古東京川開析谷と中川開析谷,荒川開析谷,多摩川開析谷が分布する.これらの開析谷は台地を開析する小規模な枝谷を有し,その周囲には,海洋酸素同位体ステージ(MIS)5cの大宮面,MIS 5aのT1面,MIS 3のT2面,LGM前半のT3面の,少なくとも4段の埋没平坦面が存在する.本調査地域北部の加須低地に埋没する大宮面は緩やかに西に上がる傾斜を示しており,太田断層と関連した活構造の存在の可能性が指摘される.