地質学雑誌
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127 巻, 10 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
論説
  • 新正 裕尚, 折橋 裕二
    2021 年127 巻10 号 p. 595-603
    発行日: 2021/10/15
    公開日: 2022/01/01
    ジャーナル フリー
    電子付録

    四国西部の中央構造線南方を主要な分布域とする中新統久万層群は日本海拡大期の内部変形を記録する地層であり,また中央構造線の運動史の議論においても注目されてきた.その堆積年代は明神層上部の酸性凝灰岩の放射年代により前期~中期中新世とされてきた.今回新たに明神層下部の酸性凝灰岩からジルコンを分離しLA-ICP-MSでU-Pb年代を求め238U-206Pb年代の加重平均として15.19 ± 0.15 Maを得た.結果は明神層の堆積時期が中期中新世である可能性を示唆する.上位の石鎚層群の火成岩類の既報ジルコンU-Pb年代は14.2~14.8 Maであり,ぺぺライトの存在など両者の形成に大きな時間間隙がない観察と整合的である.また,酸性凝灰岩のU-Pb年代は外帯珪長質火成岩類の年代範囲と重複し,それらの噴出相に給源を求めることができるかもしれない.

  • 江島 圭祐
    2021 年127 巻10 号 p. 605-619
    発行日: 2021/10/15
    公開日: 2022/01/01
    ジャーナル フリー
    電子付録

    斑状細粒トーナル岩体は母岩の脇野亜層群との境界部ではぺぺライト状の組織を示すほか, 岩体内部には熱水変質作用による二次的な鉱物や脈が発達する.一方,単斜輝石石英閃緑岩体は脇野亜層群と斑状細粒トーナル岩体に明瞭な境界を持って貫入し,他の岩脈や二次的な脈に貫かれない特徴を持つ.斑状細粒トーナル岩の組成変化はモデル計算の結果から熱水変質作用の影響があることが明らかになった.一方,単斜輝石石英閃緑岩の組成変化はモデル計算結果から,分別結晶作用と集積作用を伴う混合作用により引き起こされたと考えられる.北部九州に産する花崗岩類の年代値を考慮すると,北部九州の白亜紀火成作用は,斑状細粒トーナル岩のような浅所貫入岩型の半深成岩(あるいは火山岩)の活動で始まり,変質作用を伴う熱水活動へ移行した後,ストック状の深成活動を経て大規模火成活動へと変化したことを示唆する.

  • 佐藤 時幸, 加藤 凌, 千代延 俊
    2021 年127 巻10 号 p. 621-633
    発行日: 2021/10/15
    公開日: 2022/01/01
    ジャーナル フリー

    新潟地域の石油坑井および地表から採取した七谷期試料の石灰質ナンノ化石調査結果は,中期中新世初期のNN5帯とNN6帯で新潟平野中央部が広大な非海域であったことを示唆する.

    NN5帯の石灰質ナンノ化石の産出量は,調査地域南東部から北東部の北蒲原に抜ける狭い海域の存在を示唆する.NN6帯では新潟平野中央部から東山一帯で海域が急激に縮小するが,東部の北蒲原へ抜ける海域は依然残る.しかし,寺泊期になるとこの海域も消滅し,新潟地域の古海洋環境がMid-Miocene Climatic Optimum後でNN5帯末の急激な寒冷化とそれによるユースタシー変動の影響を強く受けたことを示す.

    一方,中新世火山岩類を貯留岩とする油・ガス田の多くは石灰質ナンノ化石が産出せず,日本海形成時のリフティングと火山活動で形成された構造的高まりがそのまま油ガス田構造となったことを示す.

  • 田辺 晋
    2021 年127 巻10 号 p. 635-648
    発行日: 2021/10/15
    公開日: 2022/01/01
    ジャーナル フリー

    関東平野の中央部には,北西・南東方向の中央構造線に沿って,最終氷期最盛期(LGM)までに形成された古東京川開析谷と中川開析谷,荒川開析谷,多摩川開析谷が分布する.これらの開析谷は台地を開析する小規模な枝谷を有し,その周囲には,海洋酸素同位体ステージ(MIS)5cの大宮面,MIS 5aのT1面,MIS 3のT2面,LGM前半のT3面の,少なくとも4段の埋没平坦面が存在する.本調査地域北部の加須低地に埋没する大宮面は緩やかに西に上がる傾斜を示しており,太田断層と関連した活構造の存在の可能性が指摘される.

口絵
エラータ
  • 大槻 憲四郎
    2021 年127 巻10 号 p. 650
    発行日: 2021/10/15
    公開日: 2022/01/01
    ジャーナル フリー

    訂正
    127巻9月号掲載の大槻論文(527–544ページ)において,校正時の事務局の不手際により,著者校正結果が十分に反映されず,英文要旨,キャプションに不備がありました.深くお詫びし,下記の通り訂正いたします.
    (地質学雑誌編集委員会)
    527ページ:Abstract 3行目
    (誤)30 years, and the
    (正)30 years. The
    529ページ:Table 1 キャプション4行目
    (誤)(6)plate convergence rate(Va), with positive values for backarc compression and negative values for backarc extension
    (正)(6)backarc deformation rate(Va), with positive values for compression and negative values for extension
    531ページ:Fig. 1 キャプション2行目
    (誤)(VsnVon
    (正)(Vs//aVo//a
    532ページ:Fig. 2 キャプション1行目
    (誤)(VsnVon
    (正)(Vs//aVo//a
    532ページ:Fig. 3 キャプション1行目
    (誤)Vsn and Von
    (正)Vs//a and Vo//a
    532ページ:Fig. 3 キャプション2行目
    (誤)(symbols as in Table 1)
    (正)(symbols are explained in Table 1)

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