地質学雑誌
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論説
富山トラフと周辺日本海の地質構造と堆積盆形成テクトニクス
中嶋 健 吉川 幸佑興津 修
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2021 年 127 巻 3 号 p. 165-188

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抄録

富山トラフと周辺日本海の広域震探記録の解析の結果,富山トラフ東縁を通る東経138°付近の南北性横ずれ構造線を境に,地質構造の方向が東西で大きく異なり,西側のリフト期の断層はさらに方向の異なる6断層系列に分けられ,多段階の日本海拡大に対応した応力場の変遷を反映したと推定された.富山トラフは南北で異なる多段階のリフティングで形成された複合リフトであり,富山トラフ北部は,早期リフト期(43-21 Ma)にWNW-ESE方向の後,NNW-SSE方向のリフト海盆が形成され,引き延ばされた地殻からなる.富山トラフ南部はリフト末期(18-15 Ma)に北部フォッサ・マグナとともに,右横ずれ伸張テクトニクスによりNNE-SSW方向の雁行プルアパート海盆群として形成された.ポストリフト期は圧縮テクトニクス下で逆断層が方向を変えて発達し,それらの地質構造と富山深海長谷の流路は,リフト期の構造に規制されている.

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© 2021 日本地質学会
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