日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
腸骨動脈閉塞病変に対する血管内治療後に生じた仮性動脈瘤に対しGORE VIABAHN内挿にて治療した1例
久良木 亮一 吉田 尚平小野原 俊博
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ジャーナル オープンアクセス

2018 年 27 巻 2 号 p. 145-148

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抄録

症例は,直腸癌術後に両側重症虚血肢を来した68歳男性.両側腸骨動脈閉塞病変に対し,自己拡張型ステント留置術を施行した.治療の際,ガイドワイヤーが内膜下を通過していた.経過観察目的に施行した造影CT検査で,左総腸骨動脈および外腸骨動脈に仮性動脈瘤を認め,ステント外側に造影剤が漏出していた.人工肛門造設後であり,ステントグラフト内挿術の方針とした.左総腸骨動脈起始部から外腸骨動脈遠位までGORE VIABAHNを内挿し,術後の造影CT検査ではステントグラフト外への造影剤漏出は認めず,仮性動脈瘤は退縮していた.閉塞病変への血管内治療,とくに外膜直下をガイドワイヤーが通過した際には,術後の仮性動脈瘤形成に留意する必要がある.このような症例では術後の画像検査が重要であり,仮性動脈瘤が判明した場合,GORE VIABAHN内挿は有効な治療法であると考えられた.

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