2018 年 27 巻 2 号 p. 145-148
症例は,直腸癌術後に両側重症虚血肢を来した68歳男性.両側腸骨動脈閉塞病変に対し,自己拡張型ステント留置術を施行した.治療の際,ガイドワイヤーが内膜下を通過していた.経過観察目的に施行した造影CT検査で,左総腸骨動脈および外腸骨動脈に仮性動脈瘤を認め,ステント外側に造影剤が漏出していた.人工肛門造設後であり,ステントグラフト内挿術の方針とした.左総腸骨動脈起始部から外腸骨動脈遠位までGORE VIABAHNを内挿し,術後の造影CT検査ではステントグラフト外への造影剤漏出は認めず,仮性動脈瘤は退縮していた.閉塞病変への血管内治療,とくに外膜直下をガイドワイヤーが通過した際には,術後の仮性動脈瘤形成に留意する必要がある.このような症例では術後の画像検査が重要であり,仮性動脈瘤が判明した場合,GORE VIABAHN内挿は有効な治療法であると考えられた.