2021 年 127 巻 4 号 p. 215-224
1980年代には堆積相解析に基づく堆積環境復元の研究は,日本においても高いレベルに達していた.さらに,シーケンス層序学研究が1990年代に盛んになることによって,地層の形成環境を時間軸に沿って動的に復元するダイナミックな地層研究がなされるようになった.また,この時期には日本人著者の堆積地質学論文の国際誌への掲載が増加した.2006年には国際堆積学会議(ISC2006)が福岡で開催され,東アジア各国はじめ国外の研究者との交流が盛んになった.分析機器の進歩による豊富なデータ,数値解析を含む実験,そして野外調査に基づく地層の詳細な観察が堆積地質学の急速な発展をもたらした. しかし,近年,社会と自然の環境変化が研究者の野外調査に困難をもたらしている.