2021 年 127 巻 7 号 p. 381-394
グリーンタフは,東北日本をはじめ北海道・フォッサマグナ・西南日本日本海側の新生界中に発達する変質を被った火山岩や火山砕屑岩類である.中でも東北日本はグリーンタフの広い分布地である.本総論では,日本海拡大期の東北日本のグリーンタフ分布地域の構造発達史に関する研究史を紹介した.プレートテクトニクスの概念が導入された1970年以前の地向斜造山論にもとづく研究の概要を紹介した後,プレートテクトニクスに基づく研究を2つのステージに分けて示す.第1ステージ(1970年初頭−2000年前後)は,従来の層序学的データが総括され,日本海拡大と関連した構造発達史モデルが提示された時期である.第2ステージ(2000年前後以降−現在)では,新たなモデル形成に向けて,新手法による年代測定,堆積相解析による環境の精密復元,地質構造を加味した古地磁気測定,応力場の復元法の改良などにもとづく新たなデータが蓄積されている.