地質学雑誌
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論説
茨城県大子町に分布する中新世栃原流紋岩類の岩脈を用いた火山活動の年代とその応力場
細井 淳 羽地 俊樹岩野 英樹檀原 徹平田 岳史
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2021 年 127 巻 7 号 p. 395-402

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抄録

新第三紀の棚倉断層帯周辺の古応力は,主に断層を用いて調べられてきた.しかし断層の解析には時代制約が困難という弱点がある.本論では,新第三系栃原流紋岩類を対象に,流紋岩岩脈のジルコンU-Pb年代測定から火成活動の時代を制約し,岩脈群を用いて当時の古応力を求めた.その結果,U-Pb年代測定では17.2±0.2 Maの年代を,応力解析ではWNW-ESE方向にσ3軸を持つ正断層型応力を得た.棚倉堆積盆の形成開始時期の17 Ma頃,栃原流紋岩類の火成活動は,WNW-ESE引張場で生じたことが推定された.この成果は,棚倉堆積盆の発達史や棚倉断層帯の運動履歴解明のための重要な情報になると期待される.

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© 2021 日本地質学会
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