地質学雑誌
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論説
近畿地方の瀬戸内区に分布する下-中部中新統の生層序と対比
入月 俊明 柳沢 幸夫木村 萌人加藤 啓介星 博幸林 広樹藤原 祐希赤井 一行
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電子付録

2021 年 127 巻 7 号 p. 415-429

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抄録

近畿地方の瀬戸内区に分布する中新統の鮎河,綴喜,山辺および山粕の各層群から産出した微化石(珪藻,浮遊性有孔虫,貝形虫)に基づき,生層序を明らかにした.鮎河層群から浮遊性有孔虫化石と珪藻化石の年代指標種は産出しなかったが,貝形虫化石と既存の貝化石の結果から土山層と黒川層は珪藻化石帯のNPD2B(18.2-16.9 Ma)に対比される可能性が高い.綴喜層群奥山田層から貝形虫化石と珪藻化石の年代指標種が産出し,珪藻化石帯のNPD2B帯に対比された.山辺層群吐山層から珪藻化石のみが産出し,珪藻化石帯のNPD2A帯(19.9-18.2 Ma)に対比された.山粕層群中太郎生層から浮遊性有孔虫化石と珪藻化石が産出し,珪藻化石帯のNPD2A帯に対比された.以上の新知見と先行研究の再検討を踏まえると,瀬戸内区の中新統は19-15 Maの汎世界的な4回の海水準上昇期に関連して形成されたと考えられる.

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© 2021 日本地質学会
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