地質学雑誌
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論説
鹿児島湾奥,姶良カルデラにおける後カルデラ火山活動と環境の変遷
鹿野 和彦 柳沢 幸夫奥野 充中川 光弘内村 公大味喜 大介井口 正人
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2022 年 128 巻 1 号 p. 43-62

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抄録

新島の露頭と新島地震観測井コアを調査し,姶良カルデラの後カルデラ火山活動と環境の変遷を明らかにした.姶良カルデラは当初,淡水湖であったが,14.5 cal ka BP頃に海水が流入して内湾に変わった.海進前の淡水湖にはラハールなど様々な粒子濃度の密度流が繰り返し流入し,北東隅の若尊火山から噴出した流紋岩質水底密度流がカルデラ内に堆積し,桜島の爆発的噴火で生じたテフラが新島周辺に堆積した.若尊火山と桜島火山の活動は海進の直前に穏やかになったが,13 cal ka BP頃に若尊火山で新島軽石が大量に噴出してカルデラが形成され,さらに小規模ながら新島南部軽石が噴出した.また,新島軽石と新島南部軽石の噴火の合間を縫って桜島でも大規模な爆発的噴火が発生し桜島薩摩テフラが噴出した.その後若尊カルデラの活動は静穏となったが,桜島火山は爆発的噴火と溶岩流出を繰り返し,姶良カルデラ底に噴出物をもたらした.

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© 2022 日本地質学会
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