地質学雑誌
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論説
球状コンクリーションの展望:地球と火星での続成過程解読の観点から
Marjorie A. Chan
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2022 年 128 巻 1 号 p. 445-464

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抄録

コンクリーションは,地球のみならず火星の複数の地点で確認されている鉄コンクリーション(例:ブルーベリー)を含め,地層の続成過程を理解する上で重要な対象である.これまでの研究により,コンクリーションは様々なサイズを持ち,多くが球形の拡散過程による最小自由エネルギー形状を示すこと,多様な色パターンや鉱物組成から様々な流体が関与して形成されたことが示されている.また地層の堆積構造,粒径,空隙/間隙率,岩脈/断層とも関係しており,過去の鉄サイクルや水(地下水)との反応を示す重要な指標であることが分かってきた.一方で,その初生的形成や続成過程の全体像を解き明かすには,微生物活動の理解など未だ様々な課題が残っており,U-Th/Heによる年代測定などの新たなアプローチが必須である.今後も,地球と火星の両方において,形成プロセスの理解に向けたフィールド調査,モデル検証,新たな分析手法などの持続的な探査が必要である.

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© 2022 日本地質学会
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