地質学雑誌
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総説
東南極における最終間氷期以降の氷床・海水準変動の復元:現状と今後の課題
石輪 健樹
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2022 年 128 巻 1 号 p. 465-474

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抄録

地球温暖化が危惧される現在,将来の気候変動に対する南極氷床の振る舞いを理解することは学術的にも社会的にも喫緊の課題である.南極氷床は多様な時間スケールで変動するため,人工衛星や現地測地観測など比較的短期の変動を捉える観測手法に加え,地質記録やモデルシミュレーションを用いた数十年から数十万の長期的な時間スケールの南極氷床変動の復元が重要である.海水準記録は地質記録とglacial isostatic adjustment(GIA)モデルから復元が可能であり,全球的な氷床量すなわち海水量を反映する.そのため,長期的な時間スケールの南極氷床変動の復元において重要な指標である.本論文では,東南極における海水準変動の先行研究とGIAモデルの現状をまとめ,東南極海水準変動復元の研究における今後の展望を述べる.

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© 2022 日本地質学会
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