2023 年 129 巻 1 号 p. 415-434
沖縄本島南部に広く分布する島尻層群とそれを覆う知念層の関係については,長い時間間隙/陸上不整合説と同時異相/整合説の2つが提示されてきた.新たに出現した大規模露頭の精査により島尻層群最上部の新里層を時間間隙なく厚い砂質スランプ層が覆い,これが知念層基底を成すことが分かった.境界付近にはドロマイト・コンクリーションが多産することも明らかになった.ドロマイトの同位体組成は両層の境界付近で堆積盆が少なくとも250 m浅化したことを示す.広域的浅海化によりスランプが発生,同時に島尻層群のメタンハイドレートが分解してメタン・フラックスが強くなりメタン由来ドロマイト・コンクリーションの生成が進んだと考えられる.