地質学雑誌
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室戸岬斑れい岩体の層状構造, 特にピクライト質斑れい岩層の成因について : 結晶の集積・分別効果の定量的検討
赤塚 貴史小畑 正明横瀬 久芳
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1999 年 105 巻 11 号 p. 771-788

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抄録

高知県室戸岬に産する室戸岬斑れい岩体はカンラン石斑れい岩, 粗粒斑れい岩, ドレライトからなるシル状火成岩体である.本岩体の層状構造の成因を検討するため, 全岩化学組成・鉱物化学組成の分析と物質収支の計算を行い, 特に本岩体上部と下部の急冷周縁部の内側に発達するかんらん石結晶に富んだ"ピクライト質斑れい岩"について詳細に検討した.まず貫入時のマグマ中のメルトの化学組成の推定を行った.下部ピクライト質斑れい岩ではマグマの貫入後早期にカンラン石(Fo83)が約20 vol%上方からの重力沈降により集積濃集し, 間隙充填メルトは最大74 vol%に達した.希土類元素の存在度データもこのモデルで説明できる.一方, 上部ピクライト質斑れい岩はやや鉄に富んだカンラン石と斜長石が集積し, 集積時の間隙充填メルトは約68vol%と推定できた.

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