四国西部三波川帯北縁部に分布する唐崎マイロナイトの構造解析とK-Ar年代測定が行われた.本岩体は三波川変成岩類の構造的上位に位置し, ナップを構成するものと考えられる.また, 唐崎マイロナイトは上盤東ずれ優勢の剪断センスを示すが, 周囲の三波川結晶片岩は上盤西ずれのセンスを示す.唐崎マイロナイトの大半を占める角閃岩質マイロナイトの角閃石ポーフィロクラストや, 泥質マイロナイトのざくろ石などのEPMA分析から, 唐崎マイロナイトの原岩をなす変成相は, 中~高程度の角閃岩相を示し, 三波川変成作用とは異なる.また, 角閃岩質マイロナイトの角閃石K-Ar年代は, 104±5 Ma, 119±6 Maおよび122±6 Maである.この結果と産状より, 唐崎マイロナイトは, 白亜紀前期110 Ma前後の肥後, 大島, 寄居, 竹貫-西堂平変成岩と対比され, 領家帯と三波川帯の間に挟まれて分布する古領家帯を構成していた可能性がある.
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