抄録
ジャワ島のバヤット地域の古第三系は, その岩相層序学的特徴からから, 下位より主として石灰岩からなるガンピン累層と, 礫岩, アルコーズ砂岩とそれらに挟在する頁岩からなるウンガル累層に区分される.従来, これらの堆積物は, 大型有孔虫と浮遊性有孔虫などの組み合わせに基づいて始新統に対比されてきた.筆者等はこのバッヤト地域の堆積物について, 石灰質ナンノ化石の群集組成を明らかにしたうえで, 従来の年代層序を再検討した.その結果, 2箇所のセクションから20タクサの石灰質ナンノ化石を確認し, その組み合わせから, この地域のウンガル累層の堆積年代を後期始新世から前期漸新世のCP 14からCP 16 cに対比した.ウンガル累層下部と上部の境界ではDiscoaster saipanensisとDiscoaster barbadiensisの消滅が認められ, この境界が漸進世/始新世境界を指示することが判明した.