抄録
国分層群は, 鹿児島湾奥北西沿岸部の加治木堆積盆における中期更新世前半の内湾 湖沼成堆積物からなり, 加治木層・鍋倉層・蒲生層・小浜層・朝日層・小田層・隼人層・麓層の8層準に区分される.このうち鍋倉層・小浜層・小田層には, 水中火砕流や安山岩の噴出, 砂礫の流入および津波による削剥と再堆積を特徴とする著しい不連続面が認められる.これらの削剥面は, その下位に伸張応力を示唆する共役断層が発達することから, 火山活動を伴う造構運動によって形成された堆積物と考えられる.こうした「火山-構造性イベント」は, 鹿児島地溝の拡大に伴いくり返し発生したと考えられる.