地質学雑誌
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106 巻, 11 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 後藤 仁敏, 兼子 尚知, 鈴木 雄太郎, 大倉 正敏
    2000 年106 巻11 号 p. 737-742
    発行日: 2000/11/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    南部北上帯に属する宮城県本吉町鹿の子南方の林道において, 上部ペルム系・千松層(Changhsingian)上部の黒色塊状泥岩から, 古生代の淡水性サメ類であるクセナカントゥス目のOrthacanthus sp.の歯の咬頭の化石が発見された.標本は, このサメの歯の歯冠を構成する2本ある側咬頭のうちの1本で, 細長く, 歯頚側より4分の1の位置から内側または外側に傾斜している.唇側面はほとんど平面で, 2つの切縁をそなえる.切縁には鋸歯があり, 片側に28,もう片側は中央部のみに16の鋸歯が数えられる.咬頭の表層は光沢のある黒色のエナメロイドによって構成されている.咬頭の全高は12.4+mm, 最大幅は2.1 mmであった.本論文は, ペルム紀後期の地層からのOrthacanthus属の最初の報告であるとともに, わが国の古生代の地層からの淡水性すなわち陸生脊椎動物の化石の最初の報告でもある.本発見は日本の古生界から魚類だけでなく, 両生類や爬虫類を含めた陸生脊椎動物の化石が発見される可能性を示唆している.
  • 竹之内 耕
    2000 年106 巻11 号 p. 743-761
    発行日: 2000/11/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    足尾帯に属すると考えられる水無川変成岩類の変形相解析に基づいた変形相系列と変形分帯, 変形小構造と微構造の対比, 応力場, 変形機構の考察から, 2つの変形時相が識別できた.すなわち, 前期変形時相では, 左走向すべりを伴う衝上運動によって弱変成岩体が深部からもたらされ, 後期変形時相では, 右走向すべりを伴う衝上運動によって, さらに浅部へと持ち上げられた.前者の運動は, 収束域に対して左走向すべりを生じさせるような海洋側プレートの運動によって, 後者は, 同様に右走向すべりを生じさせるような大陸地殻(飛騨ナップ)の運動によって, それぞれ引き起こされたと考えられる.
  • 香川 淳, 大塚 裕之
    2000 年106 巻11 号 p. 762-782
    発行日: 2000/11/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    国分層群は, 鹿児島湾奥北西沿岸部の加治木堆積盆における中期更新世前半の内湾 湖沼成堆積物からなり, 加治木層・鍋倉層・蒲生層・小浜層・朝日層・小田層・隼人層・麓層の8層準に区分される.このうち鍋倉層・小浜層・小田層には, 水中火砕流や安山岩の噴出, 砂礫の流入および津波による削剥と再堆積を特徴とする著しい不連続面が認められる.これらの削剥面は, その下位に伸張応力を示唆する共役断層が発達することから, 火山活動を伴う造構運動によって形成された堆積物と考えられる.こうした「火山-構造性イベント」は, 鹿児島地溝の拡大に伴いくり返し発生したと考えられる.
  • 早坂 竜児
    2000 年106 巻11 号 p. 783-799
    発行日: 2000/11/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    干出した諫早湾においてへい死した貝類の分布を調査し, 泥干潟の貝類を中心とした生態系を明らかにした.主な出現種はカワアイガイ等のウミニナ科の巻貝類や, イチョウシラトリガイ, ハイガイ等の内生型二枚貝類および付着性のマガキ・スミノエガキ等であり, その出現状況は堆積物の相違だけではなく干潟の幅によっても多様に変化する.泥干潟の生態系は, 構成種の時間的・空間的棲み分けによっても多様であり, 階層構造の形成により限られたスペースを高度に利用している.イチョウシラトリガイ等のデトリタス食の二枚貝は, ハイガイ等の濾水活動により強制沈降した浮遊物質や濃縮・排出された糞, 擬糞を二次的に利用している可能性もある.諫早湾の泥干潟で見られた種構成に類似する過去の貝類群集には, 中新世のArcid-Potamid fauna等が挙げられ, 生物の歴史的変遷の観点からの生息環境の評価についても今後十分検討が必要である.
  • 森下 知晃
    2000 年106 巻11 号 p. 800-811
    発行日: 2000/11/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    北海道, 幌満かんらん岩体に産する輝石・スピネル-シンプレクタイトの組織を定量的に記載する基礎データとして, シンプレクタイトの3次元構造を連続2次元BSE像から推定した.シンプレクタイトは斜方輝石マトリクス中に粗粒な枝分かれ状単斜輝石と棒状, 板状, 枝分かれ状スピネルが分布している構造を呈している.シンプレクタイト中の単斜輝石はシンプレクタイトの周りの単斜輝石とひとつながりであると推定され, 組織の形成は, 形成時に接していた輝石の結晶軸に支配されて, 外側から内側に向かって進行したと考えられる.予察的に得られた単斜輝石のモードはほぼ一定であった.スピネルと単斜輝石の分布はお互いに密接に関係しており, スピネルが両輝石の境界に産するときは板状を呈する.スピネル粒子の多くは両輝石の境界と接している.これらの観察事実はスピネルが両輝石の境界に選択的に形成されたことを示唆する(小畑ほか, 1997).
  • Makoto Takeuchi, Kazuhiro Suzuki
    2000 年106 巻11 号 p. 812-815
    発行日: 2000/11/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    The CHIME (chemical Th-U-total Pb isochron method) dating of tonalite clasts in the Middle Permian Usuginu-type conglomerate has been carried out by precise microprobe analyses of monazite and zircon. The CHIME ages are 257±19 Ma, 244±42 Ma and 248±11 Ma (zircon), and 247±24 Ma (monazite) for tonalites. The ages indicate the intrusion of tonalite around 250 Ma together with quartz diorite and diorite, and rapid uplift and denudation after the igneous activity occurred in the provenance area for the Usuginu-type conglomerate.
  • 高橋 共馬, 廣野 哲朗, 中嶋 悟
    2000 年106 巻11 号 p. 816-818
    発行日: 2000/11/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
  • 小林 文夫
    2000 年106 巻11 号 p. 819-821
    発行日: 2000/11/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
  • 永広 昌之, 石崎 国煕, 酒井 孝幸
    2000 年106 巻11 号 p. 822-823
    発行日: 2000/11/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
  • 岡田 篤正, 森野 道夫, 中田 高, 村田 明広, 水野 清秀, 能見 忠歳, 谷野宮 恵美, 池田 小織, 原 郁夫
    2000 年106 巻11 号 p. XXIII-XXIV
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    中央構造線活断層系三野断層は, 徳島県三野町上野において中位段丘面上に逆向き低断層崖を伴って溝状凹地を形成しており(岡田, 1970;中田ほか, 1999), 凹地南縁の低断層崖基部でトレンチ調査を行った. トレンチ壁面の地層は上部層と下部層に区分される. 上部層は扇状地性の礫層と耕作土(1~6層)である, 最上位の1層は現在の耕作土で, 2~3層は旧耕作土(190±40 14CyBP)であり, 4~6層が扇状地性堆積物である. 東側壁面の4層は10~13世紀, 西側壁面の4~6層は11~14世紀末に相当する14C年代を示す. また, 西側壁面の6層とこれを直接覆う4層の境から14~15世紀以降と推定される羽釜の遺物が産出している. 下部層は溝状凹地に堆積した池の堆積物であり, F4断層(東側壁面ではF1断層に切られる)を境として南北で構造が異なる. 北側の下部層(1~VII層)は北側に急傾斜しているのに対して南側の下部層(A~H層)はほぼ水平な構造を示す. 1層は鬼界アカホヤ火山灰(約BC5,200年)であり, V層はBC7,300~7,000年の14C年代を示す. 南側の下部の14CC年代である. トレンチにはF1~F5断層が分布しており, 水平成分ではこれらはいずれも右横ずれ断層である. 上下成分ではF1断層は南側隆起の逆断層であり,  F2断層は南側隆起の正断層である. これに対して, F3, F4断層は北側隆起の逆断層であり, F5断層は傾斜がほぼ鉛直で北側隆起の断層である. F1断層は急傾斜した下部層を切断し, さらに上部層の4層を切り, 3層に覆われる. F2断層は上部層の4~6層を切るが, 上部が人工改変により削られており, 3層との関係は明らかでない. F1断層の活動時期は4層堆積以降, 3層堆積前であり, 三野断層の最新活動時期は14~15世紀以降で190±4014CyBP以前と推定される.
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