抄録
山口県南東部から愛媛県北西部の瀬戸内海西部地域に分布する中新世瀬戸内火山岩類のうち, 安山岩9試料の全岩K-Ar年代を求めた.本地域内の瀬戸内火山岩類の多くは, 小規模な岩体として散在的に分布しており, 相対層序が分かる例は少ない.岩種も, カンラン石安山岩・輝石角閃石安山岩・黒雲母デイサイトなど多様である.これらの火山岩類に関する放射年代の報告は少なく, 活動時期の全容は明らかではなかった.今回得られた年代は16 Maから12 Maの範囲であり, 多くは15.5 Maから14 Maの範囲に集中した.試料状態の詳しい検討から, これらの年代は変質などの影響を受けていないと判断された.瀬戸内火山岩類の塩基性~中性火山岩類に関して従来一般的に了解されていた年代(13 Ma-12 Ma)に比べると, 15.5 Maから14 Maという年代は, 約200万年古い.