地質学雑誌
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106 巻, 9 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 大久保 弘, 佐藤 時幸, 渡辺 真人
    2000 年 106 巻 9 号 p. 583-596
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    藪田層は富山県灘浦海岸沿いに分布する鮮新世前期~後期の地層で, 十二町層は同県氷見市朝日山周辺に分布する鮮新世後期~更新世前期の地層である.筆者らは両層に挟在する火山灰層の記載岩石学的検討と化学分析, および十二町層下部の珪藻化石・石灰質ナンノ化石の検討し, 次の結果を得た.(1)藪田層と十二町層間でMT2-T1,UN-T3の2組の火山灰層が対比されることから, 藪田層の中部・上部が十二町層の下部に対比される.(2)珪藻化石層序の結果から北陸地域に広く追跡されているT3火山灰層は珪藻化石帯N. koizumii-N. kamtschatica帯とN. koizumii帯の境界付近に挟在する.またT3の4 m下位に石灰質ナンノ化石層序のDatum A(2.75 Ma)が位置する.(3)十二町層下部で認めたT1火山灰層は広域火山灰層, 土生滝I-MT2火山灰層と対比され, 石灰質ナンノ化石層序のDatum Aより14 m下位に位置する.
  • 朝田 隆二, 田崎 和江
    2000 年 106 巻 9 号 p. 597-608
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    本研究により, 鹿児島県薩摩硫黄島の酸性温泉(東温泉)における緑色バイオマット中で, 単細胞紅藻類イデユコゴメ(Cyanidium caldarium)のコロニー形成に伴うシリカ鉱物の生成過程が検討された.緑色バイオマット中のイデユコゴメは, pH 2以下でコロニー形成を行い, その密度が高くなるにつれて内部に埋もれた細胞は死滅し, クロロフィルを失って透明になる.また, そのコロニー形成の進行に伴い, 硫黄や有機物の溶脱が起こり, シリカが濃集されて, そのシリカは非晶質からクリストバライトへと結晶化が進む.さらに, 2種類の自然培養の比較実験から, pH・栄養源・シリカ濃度・細胞増殖速度・他の微生物との共生の相違によって, イデユコゴメのコロニー形成は大きく影響を受け, シリカの生体鉱物化作用に重要な役割を果たしていると考えられる.
  • 角井 朝昭
    2000 年 106 巻 9 号 p. 609-619
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    山口県南東部から愛媛県北西部の瀬戸内海西部地域に分布する中新世瀬戸内火山岩類のうち, 安山岩9試料の全岩K-Ar年代を求めた.本地域内の瀬戸内火山岩類の多くは, 小規模な岩体として散在的に分布しており, 相対層序が分かる例は少ない.岩種も, カンラン石安山岩・輝石角閃石安山岩・黒雲母デイサイトなど多様である.これらの火山岩類に関する放射年代の報告は少なく, 活動時期の全容は明らかではなかった.今回得られた年代は16 Maから12 Maの範囲であり, 多くは15.5 Maから14 Maの範囲に集中した.試料状態の詳しい検討から, これらの年代は変質などの影響を受けていないと判断された.瀬戸内火山岩類の塩基性~中性火山岩類に関して従来一般的に了解されていた年代(13 Ma-12 Ma)に比べると, 15.5 Maから14 Maという年代は, 約200万年古い.
  • 小野 晃
    2000 年 106 巻 9 号 p. 620-631
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    跡倉ナップの内部構造を解明する目的で, 関東山地北東緑部皆野町から小川町にかけて, 三波川帯に重なる跡倉ナップ由来の大きさが1 km以下の変成岩体や花崗岩体の産状を調べた.小岩体は周囲の地質体と低角断層と高角断層で囲まれたテクトニック・ブロックで, その内部には更に小さなテクトニック・ブロックが認められる.小岩体の周辺の地質体もお互いに断層で接合しており, すべてテクトニック・ブロックといえる.小岩体は, これら比較的大きなテクトニック・ブロックの境界断層付近に多く, ルート・ゾーンにおいて断層が形成された時に, 取り込まれたと考えられる.要するに, 跡倉ナップは種々の規模のテクトニック・ブロックの集合体である.その成因はルート・ゾーンで短縮テクトニクスが繰り返し起きたためと推定される.
  • 高柳 幸央, 山本 鋼志, 与語 節生, 足立 守
    2000 年 106 巻 9 号 p. 632-645
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    高知県福良地域にみられる四万十帯層状チャートのノルマルパラフィン組成, 主要元素組成, 希土類元素組成を分析し, その堆積環境の推定を試みた.この層状チャートは, 放散虫化石から, 上位層準から下位層準を通じてBarremianに堆積したことが推定される.その挟みの頁岩のノルマルパラフィン組成から, この層状チャートは全層準を通じて, 陸源有機物がほとんど供給されない海域で堆積したことが推定される.一方, tot.Fe2O3/TiO2比や希土類元素組成から, 下位層準の試料には, 熱水に由来すると思われるFeの沈殿物の寄与が大きく, 上位層準の試料ほど, これらの寄与が減少していったことが推定される.このことから, この層状チャートは, 従来海嶺付近で堆積したと報告されている層状チャートに比べて, より短期間(5m.y.程度)のうちに熱水活動の影響が減少したと考えられる.
  • 辻森 樹, 仁科 克一, 石渡 明, 板谷 徹丸
    2000 年 106 巻 9 号 p. 646-649
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    The Fuko Pass metacumulate is a tectonic block (4.5×1.5 km in size) within the Oeyama peridotite body in the Inner Zone of southwestern Japan. It was metamorphosed under the high-pressure and moderate-temperature condition to form a mineral assemblage hornblende+clinozoisite+kyanite+paragonite+albite+rutile. K-Ar ages were determined on hornblende separates from four epidote amphibolite samples, yielding 443-403 Ma. This suggests a Siluro-Ordovician subduction-related metamorphic event for the Fuko Pass metacumulate, which is distinct from the Late Paleozoic high-P/T type metamorphic events of the Renge metamorphic belt in the Inner Zone of southwestern Japan. The Fuko Pass metacumulate is correlated, in age, with the Early Paleozoic high-P/T type schists (445-402 Ma) of the Kurosegawa klippe in the Outer Zone.
  • 赤羽 久忠, 大森 昌衛, 藤井 昭二, 井川 耽石
    2000 年 106 巻 9 号 p. XVII-XVIII
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
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