地質学雑誌
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足尾山地東縁部に分布する中新世火山岩のK-Ar年代
吉川 敏之高橋 雅紀岡田 利典
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2001 年 107 巻 1 号 p. 41-45

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抄録

栃木県内に分布する新第三系火山岩のうち, 八溝山地南部の茂木地域では年代学的検討がなされているのに対し, 足尾山地東縁では年代に関する報告はきわめて少ない.今回, 宇都宮地域および鹿沼地域のほぼ下限に位置する火山岩の全岩K-Ar年代を測定した.宇都宮地域の風見山田安山岩からは, 15.78±0.64,16.61±0.84,15.26±0.40,15.02±0.39 Maの年代が得られ, これはほぼ噴出年代を示すと考えられる.鹿沼地域の日向層の年代は, 16.8±2.1,17.3±2.0,15.6±2.2,15.3±2.4 Maを示し, 信頼性に乏しいが, 岩相および層序的位置関係から風見山田安山岩とほぼ同時期に形成されたと推定される.茂木地域との対比では, 年代学的には山内層と茂木層の間の堆積間隙に相当し, 直接対比できる地層は分布しない.また, 火山岩の上位にある海成層の微化石年代および岩相の共通性から考えて, 茂木層と宇都宮地域の長岡層・大谷層, 鹿沼地域の深岩層が対比される.

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