地質学雑誌
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107 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 山田 桂, 入月 俊明, 中嶋 祥江
    2001 年 107 巻 1 号 p. 1-13_1
    発行日: 2001/01/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    富草層群(長野県)新木田層下部における堆積環境の時空分布が, 貝形虫化石群集と堆積相により明らかになった.本調査領域は7つの堆積相に区分された(I~VII) : I, 砂岩泥岩互層;II, 淘汰の良いアルコース質砂岩;III, 化石の多い泥質細粒砂岩;IV, 淘汰の良い中粒砂岩;V, 泥質中粒砂岩;VI, 砂岩と暗灰色泥岩の互層;VII, 塊状暗灰色泥岩.65種の貝形虫化石は, Qモードクラスター分析に基づき5つのクラスターに分けられた(A~E).これらはそれぞれ以下の特徴を持つ.Aは内湾奥種が優勢である.Bは湾中央部泥底に生息する種を多く含む.Cは湾奥~湾中央部に生息する種に加え, 温暖浅海種も含む.Dは上方に向かい温暖浅海種が増加し, 湾域種がほとんど産出しない.Eは岩礁や浅海の種が優勢である.堆積相とクラスターに基づく堆積環境は, 中央部から侵入した海進に伴う海域の広がりを示し, 基盤の凹凸が深い海域にも粗粒堆積物をもたらした.
  • 山崎 誠, 尾田 太良, 秋元 和實, 田中 裕一郎
    2001 年 107 巻 1 号 p. 15-25
    発行日: 2001/01/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    東シナ海の陸棚縁辺部から大陸斜面域において, 1995年10月27日から11月4日の間に簡易型および時系列型のセジメント・トラップ実験によって有孔虫フラックスの観察を行った.2種類のセジメント・トラップにより採集された試料中に, 保存良好の浮遊性有孔虫以外に保存不良の浮遊性有孔虫と底生有孔虫が認められた.このことから, 海底堆積物からの有孔虫殻の巻き上がりが示唆される.簡易型トラップと海底表層堆積物の底生有孔虫の種組成の比較から, 陸棚縁辺部のトラップには主に陸棚縁辺部から大陸斜面最上部の表層堆積物に含まれていた有孔虫が, 大陸斜面域のトラップには主に大陸斜面域から沖縄トラフ域の有孔虫が捕集されていることが明らかとなった.また, 時系列式トラップの観測結果から, 大量の有孔虫殻が, 内部潮汐流の変動をきっかけとして巻き上がり, その後平行輸送され, セジメント・トラップに到達したと推定される.
  • 楠橋 直, 山路 敦
    2001 年 107 巻 1 号 p. 26-40
    発行日: 2001/01/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    日本海拡大時に西南日本ではどのような内部変形をしたのか.この問題に1つの手がかりを与えることができると考え, 四国北西部に分布する下部中新統久万層群において多重逆解法による小断層解析と, 堆積環境の再検討をおこなった.堆積環境に関しては, 久万層群の大部分が扇状地堆積物によって構成されることがあきらかになった.また, 小断層解析により6つの応力状態を識別することができた.検出された応力状態の1つは, 久万層群中に見られたハーフグラーベン構造を形成したものであると推定される.その応力状態は傾動補正を加えたものからのみ得られたものであるため, 久万層群の堆積盆は, グラーベン群によって形成されたと考えられる.またほかの1つは約15Maの岩脈群から推定される応力場と調和的であった.このことから, グラーベン群による堆積盆形成から, 岩脈群貫入期まで伸張テクトニクスが働いたと推定される.
  • 吉川 敏之, 高橋 雅紀, 岡田 利典
    2001 年 107 巻 1 号 p. 41-45
    発行日: 2001/01/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    栃木県内に分布する新第三系火山岩のうち, 八溝山地南部の茂木地域では年代学的検討がなされているのに対し, 足尾山地東縁では年代に関する報告はきわめて少ない.今回, 宇都宮地域および鹿沼地域のほぼ下限に位置する火山岩の全岩K-Ar年代を測定した.宇都宮地域の風見山田安山岩からは, 15.78±0.64,16.61±0.84,15.26±0.40,15.02±0.39 Maの年代が得られ, これはほぼ噴出年代を示すと考えられる.鹿沼地域の日向層の年代は, 16.8±2.1,17.3±2.0,15.6±2.2,15.3±2.4 Maを示し, 信頼性に乏しいが, 岩相および層序的位置関係から風見山田安山岩とほぼ同時期に形成されたと推定される.茂木地域との対比では, 年代学的には山内層と茂木層の間の堆積間隙に相当し, 直接対比できる地層は分布しない.また, 火山岩の上位にある海成層の微化石年代および岩相の共通性から考えて, 茂木層と宇都宮地域の長岡層・大谷層, 鹿沼地域の深岩層が対比される.
  • 池原 実
    2001 年 107 巻 1 号 p. 46-63
    発行日: 2001/01/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    南大洋および南極大陸を含めた南極冷却圏は, 周南極海流や巨大氷床が存在することによる気候冷却機関として気候システムの中で非常に重要な位置を占めている.最近の深海堆積物を用いた南大洋における古海洋変動研究は, 最終氷期の表層水温がCLIMAPによる推定よりも大きく低下していることや, 南極極前線および海氷縁などを含む表層水塊が氷期-間氷期スケールで南北にシフトしていることを明らかにした.また, 極前線より北側の亜南極表層水域では, 氷期にシリカベルトが北上すること, および, 大気を経由したダスト供給量が増加したことによって, 一次生産量が増大し生物ポンプが強化されていたようだ.逆に, 極前線の南側では氷期に海氷分布域が拡大したことによって表層が成層化したため, 中・深層から大気へのCO2放出が抑制されていた.これらの南大洋における諸現象は, 大気CO2濃度を変化させることによって, グローバルな気候変動に大きく寄与していたと考えられる.
  • Takenori Kato
    2001 年 107 巻 1 号 p. 64-67
    発行日: 2001/01/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
  • 田崎 和江, 石賀 裕明, 道前 香緒里, 赤坂 正秀, 朝田 隆二, 渡辺 弘明, 名倉 俊樹, ラフィクル イスラム・ABM, 佐々木 ...
    2001 年 107 巻 1 号 p. 68-78
    発行日: 2001/01/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    2000年10月6日, 13 : 30にM 7.3の地震が鳥取県西部を襲った.鳥取県・島根県の干拓地では液状化現象が広範囲に起こり, 特に竹内工業団地と錦浜では大量の噴砂と噴水が認められた.本報告では, 噴砂と噴水の化学的, 物理的, 鉱物学的特徴について緊急調査を行った結果を詳細速報する.噴砂や噴水には多量のNaClが含まれており, これはpH 6-7や高いEC値と相関する.噴砂の鉱物組成は, 珪酸塩鉱物, 長石類が主であり, 粒度分析結果は, 竹内工業団地では粒径約30-40 μm, 錦浜では130-170 μmを示した.また, 竹内工業団地の噴砂には多量の粘土鉱物が含まれており, エチレングリコール処理後のXRD分析により, 膨潤性のスメクタイトとハロイサイトが同定された.噴砂孔中に発見されたバイオフィルム中の微生物は, 噴砂孔の水に溶存する重金属を濃集する可能性があり, 噴砂の処理方法にも考慮が必要であると考えられる.
  • Takenori Kato
    2001 年 107 巻 1 号 p. I-II
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    Interference colors provide one of fundamental criteria for identification of minerals in petrological studies. Therefore, it is important to have an interference color chart with reliable color reproduction and without degra dation. A computer program that pre cisely reproduces normal interference colors has been implemented (Fig.1). It synthesizes interference color charts from some standard illuminants using a colorimetric approach (Fig.2). Details of the program and the mean ings of the technical terms are described in Kato (2000). The interfer ence color chart synthesized from the CIE standard illuminant D55 corre sponding to the light from a halogen lamp through a blue CB filter is pre sented here for the petrological purpose(Fig.3)
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