地質学雑誌
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北海道中軸帯浦河地域イドンナップ帯における白亜系付加体の構造発達 : とくに放散虫年代および熱構造
植田 勇人川村 信人岩田 圭示
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2001 年 107 巻 2 号 p. 81-98_2

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抄録

浦河地域イドンナップ帯の白亜系付加体は5つの岩相ユニットの組み合わせから, 緑色岩優勢のナイ沢コンプレックスと砕屑岩優勢の幌別川コンプレックスに区分される.ナイ沢コンプレックスは, 緑色岩スラブ(B-Unit)と, 二畳紀の海山体および二畳紀-前期白亜紀の大洋底-海溝充填堆積物の断片(MN-Unit)の, 互層状複合体である.幌別川コンプレックスは白亜紀後期の大洋底および海溝充填堆積物(PT-Unit), 白亜紀前期-後期の海底地すべり・土石流堆積物(MH-Unit), および白亜紀後期-暁新世の斜面海盆堆積物(T-Unit)から構成される.イライト結晶化度から, 付加後の上昇・衝上運動と後期の再配列が認められた.ナイ沢コンプレックスは, 前弧オフィオライトと海溝に沈み込む海山の衝突によって, 白亜紀前期に形成された.一方, 幌別川コンプレックスは, 前弧海盆堆積作用の終息とほぼ同時に, 白亜紀後期に形成された.

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