地質学雑誌
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日本海地域における底生有孔虫Spirosigmoilinella compressaの消滅とMiliammina echigoensisの出現の年代およびその古海洋学的意義 : 中新世~鮮新世の海水準変動との関連
花方 聡本山 功三輪 美智子
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2001 年 107 巻 2 号 p. 101-116

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抄録

秋田県内の7ルートにおいて放散虫化石層序を検討した結果, 底生有孔虫化石Spirosigmoilinella compressaの産出上限の年代として5.4 Ma, Miliammina echigoensisの産出下限の年代として5.2 Maを得た.さらに, ODP Legs 127/128の公表資料について各サイトの年代層序を再検討し, S. compressaの産出上限の年代と, M. echigoensisの産出下限の年代を調査した結果, 秋田地域で得られた年代値と整合的であることが明らかとなった.両種の入れ替わる年代は中新世・鮮新世境界の年代(5.32 Ma)と接近しており, 同地域における中新統・鮮新統境界を認定する上で大変有効である.既存資料に基づいてS. compressaとM. echigoensisの生息深度を推定した結果, 両種の生息深度は互いに重複し, 日本海最深部に及ぶことが判明した.これら2種の日本海地域における入れ替わりは鮮新世初期の汎世界的な海水準上昇に起因する日本海底層水環境の変化に対応すると推測される.

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