地質学雑誌
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宍道地溝帯中軸部, 美保湾で発見された更新世火山とその地質学的意義
沢田 順弘徳岡 隆夫山内 靖喜三瓶 良和西村 清和
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2001 年 107 巻 6 号 p. 392-405

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抄録

宍道地溝帯は宍道湖から鳥取市沖合までの全長160 km以上に及ぶ半地溝で, 日本海形成時のリフト帯縁辺に相当すると推定される.この中軸部にあたる美保湾の水深26 mの海底で, 更新世の安山岩体(全岩K-Ar年代 : 0.9±0.3 Ma;ジルコンのF・T年代 : 0.16±0.04 Ma)が発見された.岩体は直径が約500 mの円錐台で, 氷期の海退期に陸上で形成されたと考えられる.全岩組成はSiO2=60-61 wt%, Al2O3=22.8-18.6 wt%で, 著しくAlに富む特異な火山岩である.岩石には斑晶とその包有物や分解生成物として斜長石, Cr古銅輝石-紫蘇輝石, Cr透輝石-普通輝石, ピジョン輝石, 普通角閃石, アルカリ長石, 石英, チタン磁鉄鉱, チタン鉄鉱, ヘモイルメナイト, F金雲母, カミングトン閃石, スピネルなどの多種多様な鉱物が含まれる.宍道地溝帯中軸部の鮮新世以降の火山体は, 地溝帯に伴う深部断裂帯に沿って形成されたと推定される.

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