抄録
美濃帯左門岳ユニットは, 粗粒砕屑岩を主体とする単調な岩相からなり, 放散虫化石の産出地点も限られていたため, 地質構造の形成過程に不明な点が多かった.根尾-和泉地域の左門岳ユニットは, 岩相・構造・変形度から, 構造的上位(北東部)に位置し砂岩が卓越する久沢谷サブユニットと, 構造的下位(南西部)に位置しチャートを伴う河内谷サブユニットに区分される.イライト結晶度と地層の変形の強度は, 構造的下部が露出するユニット南東部に向かってともに上昇する.変形の程度と熱影響の強度が調和的であることは, 左門岳ユニットの古地温構造が, 火成岩の貫入の影響ではなく, 沈み込み過程における埋没変成作用の結果として形成されたことを示している.調査地域南東部の高い被熱温度を示す左門岳ユニットの構造的下部は, 現在同ユニットの南側に露出している舟伏山ユニットの海山の衝突付加の結果上昇したものと考えられる.