地質学雑誌
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北海道中軸帯南部の白亜紀前弧海盆層序中に見出された青色片岩礫を含む河川成礫岩と不整合 : 高圧変成付加体の急速な上昇
植田 勇人川村 信人吉田 孝紀
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2002 年 108 巻 3 号 p. 133-152

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抄録
神居古潭帯南部三石川地域では,白亜紀の前弧海盆堆積体(ニタラチ-蝦夷層序)が低温高圧型変成作用を被った付加体(岩清水コンプレックス)の上位に分布する.中部蝦夷層群歌笛層(アルビアン)は岩清水コンプレックスを不整合に覆う.歌笛層の基底部は,低温高圧型変成鉱物を伴う緑色岩礫やニタラチ-蝦夷層序起源の下部白亜系泥岩礫を含む河川成の堆積物である.河川成礫岩の存在は,最高部で20km以上の変成深度を示す岩清水コンプレックスが変成後20Maの短期間に上昇し,アルビアン期に陸上に露出したことを示す.岩清水コンプレックスの上昇は,蛇紋岩ダイアピルとして起ったのではなく,コンプレックス全体が一体となって上昇した.この上昇・陸化は,前期白亜紀における海山体の多量のアンダープレーティングや,沈み込み海洋地殻の若齢化がもたらす浮力が原因と推定される.
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