2002 年 108 巻 3 号 p. 164-175
新潟堆積盆に分布する鮮新統川口層は,西部の半深海相と東部の浅海相が同時異相で堆積するタービダイトサクセッションである.半深海域で4セクション,浅海域で3セクションの連続柱状図を作成し,それぞれについてタービダイト堆積の時系列の検討を行った.その結果,半深海域では,タービダイトの堆積が起こる時期と起きない時期のコントラストが著しいこと,半深海域に見られるタービダイトの集中堆積は,数10年以内に数10枚のオーダーで形成され,これは通常時の1,000倍の頻度であること,タービダイト堆積量の増減が約10万年周期を示し,異なる堆積体でも同じ時期に多くのタービダイトが堆積する傾向があること,半深海と浅海では違った周期を持つことなどがわかった.これらのことから,半深海域につながるフィーダーチャネルは,海水準低下期には陸上の河川と連結した可能性が高く,浅海域とは独立のシステムで砕屑物をもたらしていたと考えられる.