地質学雑誌
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千葉県房総半島南端の干倉層群白浜層(上部鮮新統)に発達するゼオライト脈
井上 厚行小竹 信宏坂庭 康友今井 亮
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2002 年 108 巻 7 号 p. 465-473

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抄録
千葉県房総半島南端に分布する千倉層群白浜層中の白色細脈は,従来付加体堆積物から報告されている鉱物脈とは異なり,カルサイトの外にアポフィライトやヒューランダイト,エリオナイト,アナルサイム,ナトロライト,トムソナイト,チャバサイトなどのゼオライトを主体とする鉱物脈である.随伴するカルサイトのδ13CPDB(-39‰~-5‰)とδ18OSMOW(+24‰~+29‰)値から,脈の生成に関与した溶液中のHCO3-は堆積物中のメタンの酸化あるいは熱分解に由来したものであると推定される.また,脈の生成温度は1℃~48℃と推算された.ゼオライトやアポフィライトを含む鉱物脈に対して推定された生成温度は従来報告されていた冷湧水に伴う炭酸塩鉱物の生成温度よりも高い.この白浜層の鉱物はプレートの沈み込み帯に伴う冷湧水の組成や起源,さらに流動機構に関する多様性を示す一例である.
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