地質学雑誌
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堆積相と総有機炭素・総硫黄含有量からみた下部中新統野島層群の堆積環境
小松原 純子廣木 義久松本 良
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2003 年 109 巻 1 号 p. 20-29

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抄録
九州北西部に分布する下部中新統野島層群は2200m以上の厚さを持つ.堆積相の解析に加え総有機炭素量と総硫黄含有量を測定し,野島層群の堆積環境とその時代変遷を復元した.堆積相解析からは9つの堆積相および7つの堆積相組み合わせが認定され,湖,デルタ,河川の堆積環境が復元できた.総有機炭素・総硫黄含有量からは,南田平層最上部を除くすべての層準が海水の影響を受けない淡水の環境下で堆積したことが示唆される.これまで化石の産出がなく具体的な堆積環境がわかっていなかった深月層中部~南田平層下部も含め,野島層群全体の堆積環境は淡水湖→淡水デルタ→河川→淡水デルタ→河川→淡水湖と変化したことがわかった.野島層群最上部の海進は16.5 Maに日本海周辺で起こったテクトニックな沈降と汎世界的海水準の上昇による大規模な海進に対応する可能性があり,それより下位の野島層群は日本海開裂時の圧縮~伸張場で発達した淡水盆地で堆積した.
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