地質学雑誌
Online ISSN : 1349-9963
Print ISSN : 0016-7630
ISSN-L : 0016-7630
北海道蝦夷層群における炭素同位体比曲線とイノセラムス生層序の対応関係
土屋 健長谷川 卓プラット リサ M.
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 109 巻 1 号 p. 30-40

詳細
抄録

イノセラムス化石帯区分は上部白亜系の年代層序決定の手法として重要であるが,近年,本邦蝦夷層群において微化石との間に指標する年代区分に不一致が指摘されている.本論はイノセラムス化石帯に対応する炭素同位体比曲線を報告する.北海道大夕張・古丹別両地域のTuronian中部~Santonianの炭素同位体比曲線はInoceramus hobetsensis帯では負方向へのシフトを見せ,I. hobetsensis帯上部及びInoceramus teshioensis帯で特定傾向を示さず安定する.その上位のI. uwajimensis帯からInoceramus amakusensis帯に向かって次第に正方向にシフトする.この炭素同位体比曲線の経時変化パターンは,英国におけるTuronian中部からSantonian下部のものと類似する.それらに加え,I. hobetsensis帯に小規模なピークも見られ,これは国際対比の鍵になる可能性がある.

著者関連情報
© 日本地質学会
前の記事 次の記事
feedback
Top