地質学雑誌
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新潟・長野県に広域に分布する後期更新世の炭(すみ)層準の発見
吉川 周作渡辺 秀男井上 淳
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2003 年 109 巻 1 号 p. 63-70

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抄録

後期更新世の米原・貝坂ローム層に含まれる炭化片の実体顕微鏡観察,電子顕微鏡観察および化学分析によって,これらは,高い表面反射率,細胞壁構造の均質化,H/C比の推定炭化温度(430℃~460℃)から,高温状態で炭化した炭であることを明らかにした.そして,ローム層より産出する炭は新潟・長野県に広く連続的に分布することを発見した.これらの炭は米原ローム層及びその相当層のM3とM4の間(約11~12万年前),M6上部から直上(約9~10万年前),米原ローム最上部(約7万年前)の3層準から産出した.このうち,M3とM4の間の津南-1炭層準は50km以上,M6上部から直上の津南-2炭層準は30km以上,米原ローム層最上部の津南-3炭層準は20km以上に渡って追跡可能で,大規模な森林火災を示すことを明らかにした.今後,過去の森林火災を示す炭層準は,広く連続的に追跡でき,時間面を示すことから鍵層準として,層序学的研究に重要な役割を果たすことを指摘した.

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