2003 年 109 巻 10 号 p. 580-594
設楽火山岩体の一部を構成する大峠火山岩体の形成過程は,コールドロン形成期の火砕噴火のステージと,後コールドロン期の岩脈・シート群の貫入のステージに分けられる後コールドロン期における貫入岩体の形成は,大峠コーンシート群の形成から設楽中央岩脈群の形成に漸移し,ほぼ同時期に大峠ストック群が形成された大峠火山岩体は主にアルカリ苦鉄質岩からなり,少量のカルクアルカリ質デイサイトを伴う全岩組成の時間変化は,後コールドロン期の初期に発生した浅部のマグマ溜りへの未分化な苦鉄質マグマの再供給によって後コールドロン期の貫入岩体が形成されたことを示唆する