地質学雑誌
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秋田県北部に分布する上部鮮新統~最下部更新統の石灰質ナンノ化石層序 : 後期鮮新世古海洋変動と関連して
佐藤 時幸樋口 武志石井 崇暁湯口 志穂天野 和孝亀尾 浩司
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2003 年 109 巻 5 号 p. 280-292

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抄録
秋田県北部に分布する天徳寺層,笹岡層の石灰質ナンノ化石層序調査結果は,峰浜地域の笹岡層最上部が更新世最初期に対比されるのを除けば,いずれの地域においても両層の年代は3.85-1.73Ma間の後期鮮新世に対比されることを示す.また,北極地域の急激な氷床拡大と関連する基準面Aは峰浜地域と柾山沢地域で天徳寺層・笹岡層境界に追跡されること,これら対比から,秋田地域の大部分が鮮新世末に陸化したことを明らかにした.この調査結果と,新潟,北陸地域の大桑・万願寺動物群産出層準との対比結果から,秋田県内の大桑・万願寺動物群産出層準が,更新世に対比される新潟・北陸地域とは明らかに異なることを指摘した.一方,日本海側地域石灰質ナンノ化石群集は北太平洋-北極海域で認めた群集と極めて類似し,暖海性種を伴う太平洋側地域と対立すること,その生物地理形態が大桑-万願寺動物群と共通することなどもあわせて明らかにした.
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© 日本地質学会
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