2003 年 109 巻 6 号 p. 324-335
関東山地両神山地域に分布する両神山チャートユニットは,地質図に表現しうる3つのサブユニットに区分される.両神山チャートユニットは全体として,チャート砕屑岩シーケンスが構造的に積み重なったパイルナップ構造を呈している.サブユニット1とサブユニット2のチャートからジュラ紀中世Aalenianを,両サブユニットの珪質泥岩からはジュラ紀中世Bajocian~Bathonian前期を示す放散虫化石がそれぞれ得られた.復元した海洋プレート層序の比較からは,両神山チャートユニットが秩父累帯北帯の柏木層あるいは橋立層群に起源をもつナップであるとするとらえ方は成立しがたい.両神山チャートユニットに比較可能な秩父累帯の地質体としては,南帯の海沢層と北帯の上吉田層がその候補として挙げられる.