日本地質学会学術大会講演要旨
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第128学術大会(2021名古屋オンライン)
セッションID: R6-P-2
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R6(ポスター)ジオパーク
山陰海岸ジオパークにおける野外実習とグループワークを組み合わせた全学共通科目の成果と課題: 夏季集中講義「ジオパークと地域」を例として
*佐野 恭平松原 典孝菊池 義浩川村 教一
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抄録

本発表では山陰海岸ジオパークエリア内にて兵庫県立大学の集中・全学共通科目として実施した「ジオパークと地域」の教育的効果を統計的手法に基づき検討するため,実践内容と,授業によって学生にどのような変化が生じたのかをまとめ,報告する.

 本授業の実習地がある山陰海岸ジオパークは,山陰海岸国立公園を中心に,京都府京丹後市の東端から鳥取県鳥取市の西端にまたがるエリアで構成される.地域を理解する実習地としてジオパークを用いることで,大学生が環境システムを構成する要素間の関連性を学習することが期待できる.本授業は夏期休業中の集中・全学共通科目であり,第1日と第4日の2日間の大学における授業(講義と実習)と,第2日から第3日の山陰海岸ジオパーク(兵庫県豊岡市,香美町)における野外実習2日間で構成した.本授業の目的は,学生がジオパークの景観を観察し活動の現場に接することで,(Ⅰ)地質・地形と文化・産業等との関係性を理解すること,(Ⅱ)地域におけるジオパーク活動の意義を理解することである.

 授業前後の学生の変化を調べるため,授業の第1日および第4日の授業の終わりにイメージマップを作成させた.イメージマップは,テーマとなるラベル(刺激語)を中心に関連付けられる特定の事柄やキーワード,イメージ,概念に関する思考の広がりを図示することで,学習者の知識獲得状況を捉える方法である(三宅,1987).授業中に学生が作成したイメージマップを解析したところ,授業の前後で地質・地形および産業・文化に関するラベル数が有意に増加した.また,地質・地形と産業・文化のリンク数については有意傾向があり,ポストマップでの増加が見られた.野外実習でのレポートの分析からは,地質・地形と文化・産業等に関係した言葉が抽出された(佐野ほか,2021).

 一方で,本授業の実践から,ジオパークにおける高等教育実践の事例蓄積,「ジオパーク活動の意義の理解」についての評価方法の検討,本授業受講前の事前学習の重要性,ジオパークないのサイトで見られる資源間(ジオ-エコ-ソシオ)のどのような関連性を学習できるのかについての事前把握とジオパーク側の情報発信の重要性が今後の課題として得られた.本発表では兵庫県立大学で実践しているジオパークを活用した教育プログラムの実践を報告し,その成果と課題をもとに,高等教育で展開できるジオパークでの教育推進について議論したい.

<文献>

三宅正太郎(1987)学習者の知識獲得状況を把握する一方法としてのイメージ・マップ・テスト(Image Mapping Test)について.日本科学教育学会研究会研究報告 1,3, 75-82.

佐野恭平・松原典孝・菊池義浩・川村教一(2021)ジオパークにおける野外実習とグループワークを組み合わせた全学共通科目の成果と課題: 夏季集中講義「ジオパークと地域」を例として.地域資源マネジメント研究 1,2-21.

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© 2021 日本地質学会
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