日本地質学会学術大会講演要旨
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第128学術大会(2021名古屋オンライン)
セッションID: R17-P-3
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R17(ポスター)情報地質とその利活用
SVGタイルを用いたシームレス地質図V2の岩相抽出・着色機能の作成
*内藤 一樹
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抄録

地質図を利用する際、利用目的に応じて、地質図の中から特定の年代及び特定の岩相を抜き出して表示したいことがある。

 産業技術総合研究所地質調査総合センター(GSJ)が公開する国内を網羅したデジタル地質図である日本シームレス地質図V2のビューア(1)には、主な岩相・時代を条件として表示を絞り込む機能があるが、凡例情報の持つさらに詳細な情報を基にした絞り込みと、絞り込み結果の分かりやすい表示方法を実現するため、新たな表示機能の作成を行った。この表示機能は、GSJの公開する地質図ビューア「地質図Navi」(2)に組み込み、一般に利用可能となっている。

 地質図のデータとしては、日本シームレス地質図V2のシェープファイルから出力したSVGタイルを利用した。SVGデータは、多くのウェブブラウザの標準機能で利用できるため比較的手軽に扱うことができる。SVGタイルの構成要素(岩相)には、岩相や形成年代などの凡例情報が属性情報として付属しており、これを利用したキーワード検索が可能である。また、タイル構成要素には、スタイルシート(CSS)により塗色や境界線のスタイル設定が行えるため、地質図全体や抽出した岩相に対する塗り分けをCSSにより操作することが可能である。

 これらの機能(フィルター機能)を実装し、SVGタイルでシームレス地質図V2の岩相抽出及び塗色を実現した。岩相の抽出としては、地質年代の範囲、年代・岩相名のキーワード検索による抽出機能を作成した。岩相の塗色機能としては、抽出された岩相を指定色で塗色し表示する機能を作成した。また、岩相属性を条件分けして塗り分ける機能を作成した。具体例としては、年代値による塗り分けなどがある。

 このフィルター機能を利用可能なシームレス地質図V2は、地質図ビューア「地質図Navi」の、シームレス地質図の種類を選択するプルダウンメニューから「V2(f)」を選択することで利用できる。フィルター機能付きのシームレス地質図V2が表示された地図画面で、任意の地点をクリックすることで、凡例情報表示ウインドウが表示される。このウインドウには、岩相や形成時代、凡例IDの表示に加えて、それぞれの項目にフィルタ実行ボタンが配置されている。このボタンにより、それぞれの凡例項目に対する抽出が実行され、抽出結果となる地図が表示される。同ウインドウ下部の「ツール」表示を展開すると、岩相や年代をキーワードで抽出するための入力フォームが表示される。これを利用することで、任意のキーワードで年代と岩相を抽出した地図の表示ができる。また、抽出結果を指定色で塗色することも可能であり、これを使うことで、例えば、第四紀の堆積岩の分布域を一色で示す地図の表示を行うことができる。

 授業の教材として「白亜紀の火成岩」などの特定の地質の分布を示したり、市民への説明資料に「第四紀の堆積岩」の分布域を示すなど、シンプルで分かりやすい地図が効果的な場面は多くある。そのような場面において、今回作成した表示機能は有用であると考えられる。

(1) 日本シームレス地質図V2, https://gbank.gsj.jp/seamless/v2/viewer/

(2) 地質図Navi, https://gbank.gsj.jp/geonavi/

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