日本地質学会学術大会講演要旨
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第130年学術大会(2023京都)
セッションID: T3-O-3
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T3.大地と人間活動を楽しみながら学ぶジオパーク
下部白亜系銚子層群に挟在する礫岩から産出したペルム紀及び三畳紀の微化石:ジオパークにおける地質年代の“拡張”
*伊藤 剛武藤 俊岩本 直哉
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抄録

銚子半島に位置する銚子ジオパークには,基盤岩となる“愛宕山層群”,下部白亜系銚子層群,中新統千人塚層及び夫婦ケ鼻層,鮮新統~更新統犬吠層群,更新統常総層及び香取層ならびに完新統が露出する.特に銚子層群のアンモナイト化石や名洗層下部のサメの歯化石など,白亜紀~第四紀の化石がよく知られている.一方,銚子層群最下部の海鹿島層では,挟在する礫からペルム紀~ジュラ紀微化石の産出も報告されていた.演者らは,海鹿島層の礫岩層に挟在する礫を処理し,微化石の抽出を試みた.その結果,チャート礫から新たにペルム紀及び三畳紀の微化石を得た.計4試料から,シスラリアン期(前期ペルム紀)放散虫,中期三畳紀放散虫,中期〜後期三畳紀放散虫,前期〜中期三畳紀コノドントを抽出した.岩相と年代から,供給源はジュラ紀付加体と推定される. 先行研究において,基盤岩である“愛宕山層群”からもペルム紀化石は得られているが,その帰属には議論があり,また野外での露出も限定的であった.本研究で得られた微化石を活用することにより,ペルム紀や三畳紀の化石もジオパークにおける教育や普及活動などに取り入れることが可能となる.礫は,堆積時の後背地に露出していた地質体からもたらされる.したがって,礫には礫層や礫岩層の堆積年代よりも古い化石が含まれており,その年代を検討することによりジオパークの地質年代が“拡張”できる.この方法は粗粒な砕屑岩層を含む他のジオパークにも応用できると期待される.

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