日本地質学会学術大会講演要旨
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第131年学術大会(2024山形)
セッションID: T18-O-7
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T18. 令和6年能登半島地震 (M7.6)
[招待講演]2024年能登半島地震における斜面崩壊と流れ盤・受け盤との関係
*川畑 大作阿部 朋弥巌谷 敏光宮地 良典
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抄録

2024年1月1日に発生した石川県能登地方で発生したM7.6の地震(2024年能登半島地震)によって周辺地域で多数の崩壊が発生した。斜面災害の発生個所について地形的,地質的特徴があることがこれまで報告されている(例えば,松四,2024,阿部ほか,2024, 須貝ほか2024など)。特に阿部ほか(2024)では,産業技術総合研究所地質調査総合センターが公開している20万分の1日本シームレス地質図V2と5万分の1地質図幅である吉川ほか(2002)による珠洲岬,能登飯田及び宝立山を使い,国土地理院が公開している2024年能登半島地震による斜面崩壊・堆積分布データを再解釈した崩壊地分布のデータと比較し,地質区分によって分布傾向に偏りがあることを明らかにした。また,崩壊斜面が南斜面に多いことも明らかになった。しかし,斜面崩壊が多発した南斜面が地質構造とどのような関係にあるかはよくわからなかった。本研究では,地質区分ごとの地形的な特徴についてさらに検討をすすめ,根本ほか(2001)やMeentmeyerほか(2000)などの手法を用い,地形面と地層面の関係と崩壊斜面の向きとの比較を行った。その結果,地質によって傾向にばらつきがあるものの堆積岩地域では流れ盤斜面での崩壊が多い傾向になることが明らかになった。

引用文献

阿部 朋弥・細井 淳・阪口 圭一・川畑 大作 (2024) 地質区分と斜面傾斜方向に基づく2024年能登半島地震で発生した斜面崩壊の解析,日本地球惑星科学連合2024年大会.

松四 雄騎(2024)能登半島地震により発生した斜面変動. 能登半島地震により発生した斜面変動. 日本地球惑星科学連合2024年大会.

Meentemeyer, R. K. and Moody, A. (2000) Automated mapping of conformity between topographic and geological surfaces. Computers & Geosciences, 26, 815-829.

根本達也・藤田 崇・升本眞二・ベンカテッシュ ラガワン・塩野清治 (2001) 地形面と地層面の関係の数値表現―数量化理論第Ⅱ類を用いた地すべり地判別への適用―.情報地質,12,102-103.

須貝 俊彦・佐々木 夏来 (2024) 岩石・地形制約からみた令和6年能登半島地震による崩壊の特徴と流域地形システムへの影響―中間報告. 日本地球惑星科学連合2024年大会.

吉川敏之・鹿野和彦・柳沢幸夫・駒澤正夫・上嶋正人・木川栄一 (2002) 珠洲岬,能登飯田及び宝立山地域の地質 地域地質研究報告5 万分の 1地質図幅 金沢(10)第 3・4,6,7 号,地質調査総合センター.

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