抄録
加齢に伴って,男性では総コレステロール,LDLコレステロール,中性脂肪は中年期にピークを迎え,高齢期には漸減する.一方,女性は各血清脂質とも閉経期前後より増加し,高齢期も高値を持続する.したがって高齢者特に女性の高脂血症罹患率は高い.加齢に伴う血清脂質の上昇は性ホルモンを介するリポ蛋白代謝の変化で一部説明されている.高齢者であっても高脂血症の診断は若壮年者とかわりないが,治療については多少考え方が異なる.他の生活習慣病と同様,加齢に伴い,各疾患の動脈硬化への寄与度が相対的に低下するからである.欧米ならびに日本において高齢者の高脂血症に対する治療の意義を調査した報告は多くない.比較的若年の高齢者に対するスタチン使用の意義が示されている一方,後期高齢者,超高齢者に対しては,むしろコレステロールはある程度高い方がmortalityが低いという報告もある.今後後期高齢者,超高齢者におけるエビデンスを集積して高脂血症の管理指針を構築する必要がある.