日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
症例報告
潜在性甲状腺機能亢進症の経過の後に後期高齢期に診断されたPlummer病の1例
長谷川 崇荒木 厚田村 嘉章菅原 知紀岩田 安希子上宮 文千葉 優子堀内 敏行森 聖二郎井藤 英喜
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2007 年 44 巻 2 号 p. 251-255

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抄録
症例は,81歳女性.約10年前より甲状腺の腫瘤と潜在性甲状腺機能亢進症を指摘されていた.動悸,発汗,手指振戦,イライラ感などの症状が出現し,頻脈(心拍数100/分),および甲状腺機能亢進症(FT4 1.75ng/dl, FT3 5.37pg/ml, TSH<0.03μIU/ml)を認めたために,精査目的にて入院となった.抗TSH受容体抗体,マイクロゾームテスト,サイロイドテストはいずれも陰性であった.甲状腺エコーでは,左葉内部に結節性の33×42×22mmの結節を認め,右葉にも10×15×9mmの結節を認めた.甲状腺123Iシンチグラムは,左葉の結節のみに異常集積を認めたが,他の甲状腺組織の取り込みは抑制され,24時間123I摂取率は,7.3%と正常であった.以上の検査所見からPlummer病と診断した.患者は侵襲的治療を希望されなかったために,thiamazole 10mg/日の投与を開始し,甲状腺機能は正常化し,動悸,手指振戦,発汗などの自覚症状は軽快した.本症例では心房細動,上室性不整脈などの合併はみられなかったが,骨粗鬆症の合併が認められた.
本症例は,長年にわたり潜在性甲状腺機能亢進症の病像を呈し,さらに後期高齢期で初めて甲状腺機能亢進症を示した稀な症例であることより,報告する.
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© 2007 一般社団法人 日本老年医学会
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