2021 年 63 巻 6 号 p. 1218-1231
成人T細胞白血病/リンパ腫(adult T-cell leukemia/lymphoma;ATLL)はhuman T lymphotropic virus type 1(HTLV-1)に感染したTリンパ球が腫瘍化した末梢性T細胞腫瘍である.ATLLに合併する消化管病変の臨床症状は多彩であるが,予後不良な全身疾患であり,内視鏡検査による消化管病変の検索は容易ではない.既報の特徴をまとめると,ATLLの消化器病変の特徴的な内視鏡所見は多発隆起や潰瘍,皺壁腫大などが挙げられた.また,同時性の消化管重複病変として,他の消化管臓器においても同様の肉眼形態を呈する例が散見された.ATLLの消化管病変は全身臓器の一分症として多彩であり,消化器内視鏡医はATLL診断の一助とするべく,最新の分類の他,内視鏡所見を理解しておきたい.
本稿ではATLLにおける消化器病変について,内視鏡的特徴や臨床的特徴について概説した.