日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
原著
ADAS単語カードを用いた遅延再生課題の軽度認知機能低下者識別に対する有用性:外来もの忘れ検査利用者を対象とした検討
河野 直子梅垣 宏行鈴木 裕介山本 さやか茂木 七香井口 昭久
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2007 年 44 巻 4 号 p. 490-496

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抄録
目的:軽度の認知機能低下が認められる患者群(以後MCIと略す)の検出感度に優れ,日常臨床場面で簡便に使用可能な検査が必要とされている.そこで本研究では,Alzheimer's Disease Assessment Scale(以後ADASと略す)日本語版の単語カードを用いた遅延再生課題を提案し,MCI群の本課題の成績を健常高齢者群及びアルツハイマー病(以後ADと略す)患者群の成績と比較した.方法:名古屋大学医学部附属病院老年科,外来もの忘れ検査において,36名のMCI群,13名の最軽度AD群,104名の軽度AD群,年齢と教育歴を一致させた19名の健常高齢者群を,ADAS単語カードを用いた単語再生課題によって評価した.課題は,従来法である直後再生試行と新規実施の遅延再生試行とから構成された.結果:MCI群は健常高齢者群と比べて,直後再生試行,遅延再生試行の両方において低い成績を示すことが確認された.また,遅延再生試行は,直後再生試行に比べてMCI患者群を健常高齢者群から識別する感度に優れており,直後再生試行に遅延再生試行を組合せて施行することで,直後再生単独実施に比べてより高い感度(94.4%),特異度(68.4%)を得られることが確認された.結論:結果は,ADAS単語カードを用いた遅延再生課題が,もの忘れ外来などにおけるMCIのスクリーニング検査として有用であることを示す.
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© 2007 一般社団法人 日本老年医学会
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