抄録
症例は76歳の男性で,高血圧と糖尿病を合併した早期アルツハイマー病(AD)である.前医で投薬されていた降圧薬(Ca拮抗薬のnifedipineとβ遮断薬のbetaxolol)をCa拮抗薬のnilvadipineとアンギオテンシンII受容体拮抗薬であるtelmisartanに変更し,さらにインスリン抵抗性改善薬のpioglitazoneを併用した.約6カ月後には,verbal fluency(1分間の動物名や野菜名の想起)やfrontal assessment batteryで改善がみられ,脳血流SPECTでも前頭葉や側頭頭頂葉で血流の改善が認められた.本症例は,脳移行性の高いnilvadipineとペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)γ作用を有するpioglitazoneやtelmisartanの併用が認知機能や脳血流の改善に有効であったと考えられ,これら治療薬のADに対する効果について考察を加えた.