日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
原著
慢性閉塞性肺疾患患者に対する非監視下での在宅運動プログラムとしての「ながいき呼吸体操」の検討
山中 悠紀石川 朗宮坂 智哉戸津 喜典浦辺 幸夫乾 公美
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2009 年 46 巻 2 号 p. 154-159

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抄録

目的:COPD患者に対する非監視下での在宅運動プログラムとしての「ながいき呼吸体操」の効果を,冬期6カ月間の体操導入の有無から検討する.方法:対象は積雪寒冷地に居住する高齢男性COPD患者42例(年齢72.9±7.7歳)で,体操導入群32例,非導入群10例とした.初期評価実施後,体操導入群のみに「ながいき呼吸体操」を指導し,体操を記録したビデオを配布した.冬期6カ月間在宅で体操を継続させ,体操継続に関するアンケートを追加した再評価を行い,体操の効果を検討した.効果判定にはスパイロメトリーで測定した一秒量(FEV1)と肺活量(VC),6分間歩行テストで測定した歩行距離(6MWD),シャトルウォーキングテストで測定した歩行距離(SWD),疾患特異的健康関連QOL評価尺度であるCRQを用いた.結果:体操導入群19例,非導入群7例について分析が可能であった.介入前後のFEV1, VCに有意な変化は認められなかったが,体操導入群のみに6MWDに323.3±95.1 mから355.1±113.8 mへ,SWDに226.8±92.6 mから250.5±111.8 mへ,CRQのDyspneaに20.4±6.7点から23.4±8.8点へ,Masteryに19.6±4.7点から22.3±4.6点へと有意な改善が認められた.体操導入群19例中17例に1日1回以上かつ週6回以上の継続した体操の実施を認めた.結論:冬期6カ月間の「ながいき呼吸体操」の実施により,積雪寒冷地に居住する高齢男性COPD患者の運動機能や健康関連QOLが改善する可能性が示唆された.

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© 2009 一般社団法人 日本老年医学会
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