日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
原著
地域在住高齢者の身体活動量は外出形態,抑うつ度,ソーシャルネットワークと関連するか―余暇活動,家庭内活動,仕事関連活動に基づく検討―
角田 憲治三ッ石 泰大辻 大士尹 智暎村木 敏明堀田 和司大藏 倫博
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2011 年 48 巻 5 号 p. 516-523

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抄録

目的:高齢者の身体活動量に関連する重要な要因として,外出形態,抑うつ度,ソーシャルネットワークに焦点を当て,これらの要因と余暇活動量,家庭内活動量,仕事関連活動量との関連性について明らかにすることを目的とした.方法:茨城県笠間市の住民基本台帳を用いて,65歳から85歳の高齢者2,100名を無作為抽出し,有効回答の得られた340名(有効回答率16.2%)を分析対象とした.身体活動量の評価には,Physical Activity Scale for the Elderly,抑うつ度の評価にはGeriatric Depression Scale(GDS),ソーシャルネットワークの評価には,Lubben Social Network Scale(LSNS)を用いた.主要な分析には,重回帰分析(強制投入法)を用いた.目的変数には各身体活動量を,説明変数には仮説として身体活動量と関連すると想定した項目および基本属性に関する項目を設定した.結果:重回帰分析の結果,余暇活動量は,自転車利用頻度(β=0.17),LSNS得点(β=0.17)と有意に関連した.家庭内活動量はLSNS得点(β=0.21)と関連した.仕事関連活動量は乗物利用頻度(β=0.25)と関連した.総活動量は,自転車利用頻度(β=0.10),乗物利用頻度(β=0.23),GDS得点(β=-0.16),LSNS得点(β=0.23)と関連した.結論:本研究では自転車や乗物の利用頻度が,余暇活動量および仕事関連活動量を反映することを示した.また,ソーシャルネットワークは,余暇活動量と家庭内活動量の両方と関連する重要な因子であることを明らかとした.

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© 2011 一般社団法人 日本老年医学会
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