日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
原著
手段的日常生活活動の自立した地域在住高齢者における転倒恐怖感に関連する要因の検討
大矢 敏久内山 靖島田 裕之牧迫 飛雄馬土井 剛彦吉田 大輔上村 一貴鈴木 隆雄
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2012 年 49 巻 4 号 p. 457-462

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抄録
目的:手段的日常生活活動(IADL)の自立した地域在住高齢者における転倒恐怖感の存在率及びその特徴を検討することを本研究の目的とした.方法:対象は,IADLの自立した地域在住高齢者119名(平均年齢75.7±7.2歳,女性60名)であった.問診により聴取した転倒恐怖感の有無により,転倒恐怖感を有している者をあり群,有していない者をなし群とした.過去1年間の転倒経験,過去1カ月における疼痛の有無,3種類以上の服薬の有無,そして慢性疾患の有無もあわせて聴取した.そして,身体活動量としてInternational Physical Activity Questionnaire;IPAQ,生活空間としてLife-Space Assessment;LSA,心理状態としてGeriatric Depression Scale;GDSを日本語版の質問紙を用いて調査した.さらに,身体機能としてTimed Up and Go test;TUG,開眼片足立ち保持時間を測定した.各指標に対する群間比較を連続変数には対応のないt検定,カテゴリー変数にはχ2検定を用いて検討した.さらに転倒恐怖感の有無を従属変数とし,単変量解析で有意な差が認められた指標を独立変数とした多重ロジスティック回帰分析の強制投入法を用いて,転倒恐怖感に関連する要因を検討した.結果:転倒恐怖感を有する者は対象者全体の51.3%で,その全員が日常生活に支障はないと回答した.転倒恐怖感が,あり群ではなし群に比べ有意に女性,痛み,慢性疾患,転倒経験を有する者の割合が各々高かった.また,あり群の方が,LSAの得点が低く,TUGの所要時間が長く,開眼片足立ち保持時間が短く,各項目において有意な群間差がみられた(p<0.05).多重ロジスティック回帰分析においてLSA(総得点120点)のみが転倒恐怖感の有無と有意に関連した(OR:0.96,95%信頼区間=0.93~0.99).結論:IADLが自立した地域在住高齢者の51.3%に転倒恐怖感が存在し,高い値を示した.転倒恐怖感は,多変量解析では,LSAとのみ関連があった.今後,縦断的な調査によりこの因果関係を明らかにし,効果的な介入方法を確立することが重要である.
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© 2012 一般社団法人 日本老年医学会
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